薬には飲み薬だけではなく、貼り薬もあります。ドラッグデリバリーシステムでは、皮膚から体内へ薬を取り込む方法も研究されてきました。皮膚から薬を入れると、肝臓を通らずに、つまり肝臓によって排毒されずに、体内に取り込むことができるため、注目されています。

肝臓は、アルコールを分解することで知られていますが、他にも様々な排毒作用を担っていて、薬を体外から入ってきた異物とみなして処理します。異物を排除することは大切ですが、肝臓の通過を回避できれば、それだけ薬の到達率が高まります。

現在、狭心症治療薬やぜんそく治療薬、アルツハイマー認知症薬や、がんの痛みを抑える薬など、皮膚にテープで貼り付けて体内に取り込むタイプのものが開発されています。

DDSの経皮投与について

心臓発作心臓発作が起きたらすぐに薬を飲むというシーンを見たことがあるでしょうか。心臓の血管が詰まって心筋梗塞の発作が起きた時には、ニトログリセリンを入れて血管を広げます。この時使われるのが「舌下錠」という薬で、噛んで口の中の粘膜から吸収するようにしていました。しかし発作が起きた時に、すぐに薬を口に入れることができれば良いのですが、一人でそれができなければ危険な状態になります。そこで開発されたのが経皮吸収の貼り薬です。経皮治療システム(Transdermal Therapeutic System)、 略してTTSと呼ばれます。舌ではなく、皮膚にシートを貼り付けて薬を吸収させるもので、今では24時間以上効果を持続させることができます。飲み薬の研究者は多いですが、この貼るタイプの薬は飲み薬に比べると圧倒的に少なく、注目されている分野と言えるでしょう。

マイクロニードル

マイクロニードルこのようなテープ式の薬を可能にしたのがマイクロニードルです。マイクロメートル(1mmの1000分の1)の微細な針のついたテープで、薬を皮膚の中に送ります。針とは言ってもここまで小さいと痛みはありません。微細加工技術の進歩によって製造が可能になりました。この技術を使えば、将来注射の痛みがなくなるかもしれません。

イオントフォレシス

イオントフォレシス皮膚に電場をかけることによってイオン性の薬の吸収を促進する方法です。

ソノフォレシス

皮膚に超音波を照射することによって、薬の吸収を促進する方法です。

皮膚の構造と吸収

人間の皮膚皮膚は、表皮、真皮、皮下組織からできています。表皮にはバリアゾーンがあり、ウィルスなどの外敵から身を守っています。有効成分を取り込むには、表皮の角質層の隙間を通って吸収させるか、毛穴や汗腺の隙間から内部に染み込ませるかのどちらかです。毛穴や汗腺は肌の表面積の0.1%しかないので、有効成分を必要な量体内に取り込むためには、狭い角質層の隙間を通って吸収させる必要があります。この考え方は化粧品にも応用でき、最近ではナノ粒子のサイズをうたった微粒子化粧品が増えてきています。

 

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参考文献

  • 橋田充、高倉善信:「図解で学ぶDDS」 じほう(2010年)
  • 岩田博夫、加藤功一、木村俊作、田畑泰彦:「バイオマテリアル」丸善出版(2013年)