薬は患部でのみ効果を発揮することが理想ではありますが、コントロールリリースにしろ、ターゲティングにしろ、体内の薬の動きを制御するには限界があります。薬を輸送する途中で溶けて中身が出てもいけないし、溶けにくい材料で作ると患部で薬の効果が発揮できません。溶けないことが重要、溶けることも重要というのが、DDSの材料の特徴ですが、体の中に入ったDDS製剤の動きを、何から何まで正確にはコントロールできません。そこで、別の方法論として、光や超音波、温度、磁力などを体の外部から当てて刺激するという方法も研究されています。

蛍光灯の光を当てるだけでがんが治る!?

体内でDDS材料が薬を徐放するあんばいを、体外からの刺激でコントロールしようというものです。薬をDDS材料の粒子に包んで、体内に投与します。普通は体内でDDS材料が溶けるのと同時に中の薬が出ていきます。しかしこの場合は、DDS製剤を溶けにくくして、ターゲティングによってがん患部に薬を集め、がん細胞の近辺に薬が集まってきたら、外部から刺激を与え、薬を放出するというものです。

フラーレン(C60)とは

フラーレンここでは例としてDDSの材料にフラーレン(C60)を使います。C60というのは、ダイヤモンドに次ぐ炭素の同位体で、炭素原子60個でできていて、様々な方面で活用されています。この材料は光を当てると活性酸素を効率よく発生します。フラーレン(C60)が外部から刺激を受けると、その周辺に存在している体の中の酸素が活性酸素に変わり、酸素の力でがん細胞が殺傷されます。

外部刺激DDSの利点

外部刺激と組み合わせることで、患部以外に送られてしまった薬(材料に包まれていれば薬効は発揮しない)も、外部から光や超音波を照射しなければ、材料が溶けて患部以外で副作用を起こさなくて済むようになります。

また光や超音波は照射する時間を決めることができるので、薬が効くタイミングと、持続時間をコントロールすることができます。薬は、種類に応じて低濃度で長時間薬効が持続した方がよいものもあれば、高濃度で短時間で薬効を一気に効かせた方がよいものもあります。こうした場合に外部刺激は非常に有用性が高く、今後の発展が期待されています。

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参考文献

  • 橋田充、高倉善信:「図解で学ぶDDS」 じほう(2010年)
  • 岩田博夫、加藤功一、木村俊作、田畑泰彦:「バイオマテリアル」丸善出版(2013年)
  • 田畑泰彦:「絵で見てわかるナノDDS」メディカルドゥ(2007年)