腎臓の機能を失い、人工透析を行っている患者は日本で30万人。腎臓は最も再生が待ち望まれている臓器のひとつです。ここでは腎臓の働きについて見ていきます。

腎臓の働き

腎臓

腎臓は左右に1個ずつ、握りこぶし大の大きさで、そら豆のような形をしています。腎臓には、体内環境を最適に整えるという、大切な働きがあります。

たとえば体内でつくられた老廃物をろ過します。腎臓は血液をろ過して、老廃物や塩分を尿として体の外へ排出しています。また、体に必要なものは再吸収し、体内にとどめる働きをしています。腎臓の働きが悪くなると尿の出が悪くなり、毒素が体内に蓄積する尿毒症になり、そのままにしておくと数日で命を落とします。他にも体内の水分やミネラルの調整をしたり、レニンという酵素を出して血圧の調整をしています。また、エリスロポエチンという造血ホルモンを出して、赤血球をつくるようにしていることも最近わかってきました。

腎臓病

メタボリックシンドローム腎臓の病気の症状として、炎症を起こしたり、結石が生じたりします。腎臓の働きが30%低下し、体内の老廃物を排除できない状態を腎不全と言います。新たな国民病と言われているのが慢性腎不全です。患者数は1,300万人を超えると言われています。糖尿病やメタボリックシンドロームと関係し、じわじわと進行して、気づいた時には人工透析が必要となってしまうというものです。自覚症状は、むくみが出る、疲れやすい、貧血、夜尿症などです。

腎臓病と糖尿病

糖尿病の疑い 2,210万人腎臓病の原因で最も多いのは糖尿病です。糖尿病が強く疑われる人は日本で890万人、可能性が否定できない人が1,320万人、合わせて全国で2,210万人と推定されています。人工透析患者の42%は糖尿病が原因と言われています。糖尿病は、しびれなどの神経障害、目が見えなくなってくる網膜症、そして腎臓病を引き起こします。慢性腎不全も、糖尿病も、現代病と呼ばれ、病気の原因は主に生活習慣です。どちらも自覚症状はなく、何年もかけて徐々に進行していきます。毎日の生活の中で食事の改善、適度な運動、ストレスをためない、といったことが予防の第一歩となります。

人工透析患者30万人

人工透析腎臓が機能不全に陥ると、人工透析を受けることになります。平均すると週3回、5時間かけて病院に通い、透析で血液をきれいにする必要が出てきます。また、水分、塩分の制限、カリウムの多い生野菜、芋、豆類、そしてタンパク質の多い肉、穀物、乳製品を制限しなければならなくなります。腎臓が行っていたこれらの処理機能がなくなったためです。人工透析を行っても、完全に腎臓の代替機能を果たせるわけではないため、心臓に負担がかかり、透析患者の死因は心不全が最も多くなっています。

一人の人が透析を必要とし、自由に動くことができなくなることによる社会的な損失は甚大です。さらに透析設備の費用、ケアにあたる看護師の費用など、医療費も膨大にかかっており、年間1兆円かかっていると言われています。

腎臓移植

手術根本的な改善は腎臓移植しかありませんが、移植はドナーが常に足りないという状況です。また、仮に移植できたとしても、他人の腎臓を移植するため、免疫による拒否反応があるので、免疫抑制剤を飲み続ける必要があり、合併症の危険性はぬぐえません。

腎臓の再生

iPS細胞から腎臓

腎臓の再生医療において、iPS細胞から新たな腎臓をつくることに最も大きな期待が寄せられています。熊本大学では2013年、立体構造の腎臓組織をつくることに初めて成功しました。老廃物をこしとる「糸状体」と栄養分を吸収する「尿細管」の機能を再現できたそうです。現在は3か月の胎児の大きさのものまでできたそうなので、今後成長させていく必要があります。腎臓の再生医療は2022年以降と言われていましたが、大幅に前倒しできる見込みです。

続いて膵臓の再生です。

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参考文献

  • 八代嘉美、中内啓光:「再生医療のしくみ」日本実業出版社(2006年)
  • Newton 別冊:「夢の再生医療を実現する」ニュートンプレス(2012年)