iPS細胞やES細胞は、単体では個体にまで成長することはできません。胎盤にはなることができないからです。しかし精子や卵子になることはできるのです。この性質を使って、人間の環境破壊によって絶滅しかかっている動物の種を保存し、残すという試みが行われています。

iPS細胞から精子を作製

京都大学では、iPS細胞から精子のもとになる細胞を作り出し、精子を作り出せないマウスの精巣に移植したところ、完全な精子をつくることができ、この精子を卵子と体外受精させたところ、正常な子マウスが生まれました。iPS細胞によって精子がつくれるということが実験によって明らかになったのです。

世界中の絶滅動物のiPS細胞を作製

このことを使って、絶滅の危機にある動物の細胞からiPS細胞をつくり、その動物を救出しようという研究が進んでいます。アメリカでは世界で7頭しかいなくなったキタシロサイがいます。サイのツノはナイフの柄などに用いられるほか、粉末状にして漢方薬として珍重されるため、密猟者が跡を絶たず、ここまで数が減ってしまったという現状があります。

 

ドリルそして、 もう一つ、絶滅の危機に瀕している、ドリルというサル科の動物がいます。ドリルは森林伐採による生息地の破壊、猟犬や銃による狩猟などにより、生息数が減少しました。このキタシロサイとドリルのiPS細胞がつくられました。
ユキヒョウオーストラリアでもユキヒョウが絶滅の危機にあります。ユキヒョウは毛皮用や薬用のため乱獲されています。このユキヒョウもips細胞がつくられました。

日本産トキの復活

日本産トキ

トキは19世紀の日本ではよく見受けられた鳥でしたが、乱獲、乱開発により激減し、絶滅しました。今現在、日本ではトキのほかに、コウノトリやツシマヤマネコなど、60種以上の動物の細胞が凍結保存されています。

これらの細胞を使ってiPS細胞をつくり、絶滅動物を復活させようという試みが始まっています。

続いてiPS細胞の課題についてです。

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参考文献

  • 金子隆一、新海裕美子:「この一冊でiPS細胞が全部わかる」青春出版社(2012年)
  • Newton 別冊:「夢の再生医療を実現するiPS細胞」ニュートンプレス(2012年)
  • 中西貴之:「なにがスゴイか?万能細胞」技術評論社(2012年)
  • 日経サイエンス編集部:「iPS細胞とは何か、何ができるのか」日経サイエンス社(2012年)
  • 升井伸治:「iPS細胞が再生医療の扉を開く」C&R研究所(2009年)