ドラッグデリバリーシステムの開発が進むとどうなるでしょうか。ここでは、患者にとってのメリット、薬を開発する製薬会社にとってのメリット、薬を投与する医師や看護師にとってのメリット、経済的なメリットについて解説します。

患者のメリット

患者

薬を飲む量がこれまでよりも少量ですみ、薬の効き目がしっかりと出るようになります。これは本当にありがたいことですね。

薬を飲む回数が減る、ということにもつながるでしょう。1日に朝昼晩、毎回飲まなくてはいけない薬が、1日1回でよくなったりします。これなら、うっかり薬の飲み忘れも減ります。

また、薬の量が減るということは、副作用が減るということにもつながります。副作用を抑えるためにたくさんの薬を同時に飲む、薬で胃が荒れるから胃薬も一緒に飲むといったことがなくなります。

注射しなければ効かなかった薬が、飲み薬でよくなるので、毎回痛い思いをしなくてよくなります。

また、注射のために病院で入院するはずのものが、自宅で療養ができるようになります。つまり、「患者のQOL(Quality of Life)の向上」につながります。

製薬会社のメリット

製薬会社

薬の効能を増やすことができ、、注射でないといけなかったものが、飲み薬でよくなるなど、薬自体の競争力を高め、薬のライフサイクルを長くすることができます。

また、副作用が強すぎて開発を諦めていたものが、ドラッグデリバリーシステムによって利用できるようになるかもしれません。

医者や看護師のメリット

医師や看護師

これまで、医者や看護師の注射が必要であったものが、飲み薬でよいのであれば、医者や看護師の負担も軽減できます。

また、これまで有用な薬がなく、満足な治療ができなかった病気に対し、新しい治療方法を提供できます。例えば、認知症、糖尿病、加齢黄班変性症、肝硬変、腹圧性尿失禁、エイズ、COPD、統合失調症、自律神経障害、変形性関節症、脳梗塞、脳出血、慢性腎不全、睡眠時無呼吸症候群などです。これらに対する薬の候補はありますが、投与しても目的の場所に到達しない、副作用が大きい、有効な濃度域が狭くて量の調節が難しい、飲み薬では吸収されない、個人差が激しい、などの理由で薬の開発が断念されることが多くありました。これらの病気が、ドラッグデリバリーシステムを用いることで、薬で治療できる可能性が生まれます。

実際、難病指定されていて、これまでの医学では治らないとされていた病気が、DDS製剤によって治療効果があがっているという報告もあります。

経済上のメリット

グラフ薬の量を減らす、副作用を減らすということで、過剰な薬を飲まなくてよくなります。注射ではなく飲み薬でよくなると、医療従事者の負担が減ります。つまり、医療費が減ります。ドラッグデリバリーシステムの技術開発が、増え続ける日本の医療費問題解決の糸口になるかもしれません。

DDSは様々な分野へ応用が可能

DDSは様々な分野へ応用が可能このように様々なメリットがあるドラッグデリバリーシステムは、全国の様々な大学や企業で研究され、ドラッグデリバリーシステム専用の研究センターを作る大学も増えています。特にナノレベルの微細な技術については日本が他国よりも進んでいる面が多くあります。そして「必要な量を、必要な時に、必要な場所へ届ける」という技術は、医療分野だけではなく、サプリメントや化粧品、人間だけではなく、動物への医薬品、畑にまかれる農薬、細胞の高速培養など、様々な分野にも応用され、広がっていっています。超ミクロの世界の技術革新の波が、静かに、確実に拡がっています。

それでは次に、ドラッグデリバリーシステムの4つの基本的な考え方を解説します。

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参考文献

  • 「特許出願技術動向調査報告書(概要) ドラッグデリバリーシステム(DDS)」特許庁 (2011年)